【短】sand castles
擦り抜けてゆく幾つもの砂。
この指をさらさらと零れていく感覚は…。
あの日、あたしが教室から去って行ったのに何処か似ている。


本当は、心から夢見ていたんだ。
誰も瞳もはばからず、手を繋いで。
何度となくキスをして。
絡める指先。
重ねる鼓動。



だけど、どれを取っても…本当の思い出には出来ず。
未だ微熱を残して刻まれている。
この、私の体の細部に至るまで。
貴方という呪縛に雁字搦めになっている。


ほんの少しだけ、触れた口唇から、溶けていきそうだった。
心臓が口から飛び出しそうなくらい、ドキドキした。


だけど、気付いてしまったんだ…。


こんな一方的な事をしたからって、先パイはあたしのものにならないって事に。
今までだって、ずっと…。

あたしの独りよがりでしかなかったんだって事に。


あたしは、誰も来ない旧棟の屋上まで走り続けて、あの日大声を上げて子供みたいにぼろぼろと涙を零した。
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