あなたのことは絶対に好きになれない!
「この後カラオケ行く人〜!」

お店を出たところで、亜水ちゃんが集合をかける。

ほとんどの人が二次会でカラオケに行くみたいだけど、私はこの後オウスケくんと約束があるしやめておこう。

亜水ちゃん以外の皆ともLINEのIDの交換が出来たから、これからはきっといつでも会えるし。


「じゃあ久美香、またね!」

亜水ちゃんがそう言ってくれて、私も「うん」と返しながら手を振る。

すると。


「亜水。俺も今日は二次会はパス」

康太くんも私の隣で亜水ちゃんにそう言った。


「あー、そうなの? じゃあ駅まで久美香のこと送ってってよー」

「了解ー」

すると今度こそ、亜水ちゃんたちは私たちに背を向けてカラオケに向かった。


「じゃあ俺たちも行くか」

「あ、うん」

私たちも、たわいもない会話をしながら駅まで二人で歩いていく。


駅に着くと、乗る電車を聞かれたので、オウスケくんの家方面の路線を答えた。
これから彼氏の家に行く、って正直に答えるのは何だか恥ずかしかったから言わなかった。
……康太くんはオウスケくんのこと、何だか誤解してるみたいだし……。


康太くんの家も方面が同じらしく、一緒の電車に乗った。

私は三駅先で降りることを告げると、彼の家はそこから更に四駅向こうなのだと教えてくれた。

でも、私が降りる駅で電車が停まると、彼も一緒に降りて、


「家の前まで送ってくよ」

と言ってくれた。

駅まで着いたらオウスケくんに連絡して迎えに来てもらうことになっていたから遠慮したのだけれど、「最近物騒だから」と言って引かない。
〝彼が迎えに来る〟と言えないから、結局彼の厚意を断りきれず、オウスケくんの家の前まで送ってもらうことになった。
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