あなたのことは絶対に好きになれない!
「ちゃんと、想ってもらってるよ……。そんなこと言わないで……」

康太くんは優しい人だから、意地悪でこういうこと言ってるんじゃないっていうのは分かる。
でも、だからこそオウスケくんのことをそんな風に疑わないでほしい……。


「ごめん」

彼は眉を下げて、やっぱり謝る。
それでも彼は、再び口を開く。


「久美香ちゃんの気持ちは揺らがない? 一生彼のことが好きでいられる自信ある?」

「え?」

私……?


康太くんは真っ直ぐに私を見つめながら、話を続ける。


「幼馴染みと再会してさ、何となく気持ちが盛り上がって、好きって錯覚してるとかじゃない?
この先ずっとその彼と一緒にいて、いつか今の〝好き〟って気持ちが少し落ち着いた頃、昔いじめられていた頃のことを思い出して、彼のことが嫌いになることがあるかもしれないよ」


何……? 私がオウスケくんのことを嫌いに……?


そんなこと、きっとない。だって今はこんなにーー




『オウスケくんなんか、大嫌い‼︎』



急に、昔の自分のことを思い出した。
彼にいじめられて、毎日大泣きしながら『嫌い!』と叫んでいた自分のことを。

昔の彼と今の彼は違う。
昔の私と今の私も違う。

だから、大丈夫のはずなのに……。


不安になっていると、突然ーー康太くんから抱き締められた。


「えっ……?」

優しい力。突然のことに驚くけれど、強引さは感じない。


「こ、康太くん?」
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