あなたのことは絶対に好きになれない!
彼に何も言わずに出て来てしまった。バッグも靴もなくなっていれば、帰ったんだなって分かると思うけど……。


頬に当たる夜風は涼しいけど、気持ちが穏やかになることはない。


それどころか、考えれば考えるほど頭の中はグチャグチャだ。


……康太くんに色々言われた時は、オウスケくんは間違いなく私のことを好きでいてくれていると信じていた。


でも、だとしたらさっきのあの態度は何?

どうして、無理矢理キスしようとしたの?



考えても答えなんて分かるはずがない。

ボンヤリと歩いていると、駅まで到着した。


……だけど電車には乗らず、構内のベンチに腰掛けてボーッとする。


両親には、今日は友達の家に泊まるって言ってある。
急に予定をコロコロ変えることを嫌う両親だから、何となく家には帰り辛い。


だけど急にお家にお邪魔出来るような友だちも思い付かない。


じゃあ、カラオケかネットカフェ?

……でも、カラオケもネットカフェも個室に鍵が付いてる訳じゃないから、一人で一晩過ごすには少し怖い。



……何やってるんだろう、私。


今日オウスケくんの家にお泊まりすること、本当は凄く楽しみにしていたのに……。
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