あなたのことは絶対に好きになれない!
本当だったら、今頃彼とソファに隣り合って座って、今日の同窓会の話を聞いてもらって、一緒にお茶を飲んで、そしてキスをして……。


彼の前ではいつもあんまり素直になれないけど、本当は色んな理想を思い描いていたの。


もう、駄目なのかな。

オウスケくんと、別れちゃうのかな……?


目の前がじわ、と滲む。
こんなところで泣くなんてかっこ悪い。
でも、彼のことを考えるほど堪え切れなくて……ついに、膝の上でギュッと握っていた拳の上に、ポタと涙が落ちた。




……その時だった。





「泣き顔は俺の前だけにしとけよ」



聞き慣れた声。聞き慣れた意地悪な言葉。

振り返ると、そこにいたのはオウスケくんだった。
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