あなたのことは絶対に好きになれない!
「オウスケくん、何でここが分かって……?」

涙を拭うのも忘れて、彼を真っ直ぐに見つめながらそう問うと……。


「クミの親って確か色々と厳しい人だったよな。だから、クミが予定を急に変更して家に帰るとは思わなかった。
かと言って、カラオケやネカフェに一晩一人で過ごす度胸がクミにあるとも思わなかった。
となると、これからどうするかをとりあえず駅で考えてるだろうと思って」

ま、まさかのエスパーの如くお見通し……。私、そこまで分かりやすい? いや、オウスケくんが鋭すぎるのだと思う……。


焦る私とは対照的に、オウスケくんは落ち着いた様子で私の隣に腰掛け……そして静かな口調で。


「さっきのあの男のこと、好きなの?」


予想もしていなかったその質問に、思わず何度も瞬きしてしまう。


でもオウスケくん、やっぱり康太くんのことを気にしてくれてる?


「…….違うよ。何とも思ってないよ」

そう答えると、彼はフゥ、と深く息を吐いて……


「良かった」

と。小さな声で、でも確かにそう言ったのだった。


さっきまであんなに不安な気持ちでいっぱいだったのに、その言葉だけで私は安心して……単純かなと思いながらも、とりあえず手の甲で涙を拭った。
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