あなたのことは絶対に好きになれない!
「それはな、クミのせい」

「えっ?」

「小学生の時、クミをいじめてることが母親に知られて、クミにちょっかい出すことが出来なくなって。
それでも、しばらくしたらまたクミと話せるようになるかなって思ってたんだ。
そしたらお前、引っ越しちゃって」

「そうだね。引っ越したのはお父さんの仕事の都合だけど」

「子供ながらにすっごい後悔した。何でいじめちゃったんだろうってな。いじめてなければ、きっと引越し先の住所や電話番号も聞けたのに。
それ以来、人に優しくしようって決めた。もう後悔したくないから」


そう話す彼の瞳は真っ直ぐで、だけどどこか切なげで……嘘を吐いているようには見えなかったから、恐らく本音なのだろう……。


でも。


「……いや、久し振りに再会した私に対して、やっぱり意地悪だったじゃないですか」

今日のことを思い出すと、今の彼の言葉はどうも引っ掛かる。

私をいじめていたことを後悔して、人に優しくするようになった、それがキッカケでオフィスの王子様と呼ばれるようになった、そこまでは納得した。女性社員の皆さんの言動からしても、彼は本当に周囲に優しいのだろう。

でも、私に対しては今もなお優しくないんですけど⁉︎
壁ドンされたり、私の反応をからかわれたり、今だって半ば強引にここに連れて来られてる訳だし!

私がそう話すと、彼はじーっと私を見つめた後。


「あの頃、俺が何でお前に意地悪してたか、分かる?」

そんなことを聞いてきた。
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