あなたのことは絶対に好きになれない!
「それオレンジジュースだよね? お酒弱いの?」

「は、はい……」

「可愛いね」

そう言いながら、田口さんはテーブルの下で、私の手をギュッと握ってくる。

突然、ぞわ、と鳥肌が立つ。

このくらいのスキンシップ、普通なのかもしれない。
だけど私は無理……。
田口さんのこと、優しそうな人だなと思ったし、実際嫌な人ではないだろう。

でも……っ。


「そうだ。あのさ」

田口さんは私の手を握っていた手を、今度は私の肩に置き、軽く抱き寄せながら。


「久美香ちゃんのこと、久美ちゃん、って呼んでもいい?」

そう言われた、その瞬間。


パシャンッ。


「わっ」

「きゃっ」

私と田口さんの声が重なる。
私の肩に置かれていた田口さんの手に、冷たいものが溢れてきたから。私の肩も少し濡れた。
見上げると、そこには水の入ったコップを持ったオウスケくんがいた。


オウスケくんは、さっきまでの王子様モードのままで。

「すみません田口さん! 吉山さんと話そうかと席を移動しようとしていたら、水が溢れてしまって!」

そう言って、私と田口さんの間に座り込み、ハンカチで田口さんの濡れた手を拭く。

田口さんも悪い人ではないので、「ああ、全然いいよ」と答えた。

そして。
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