キミと初恋。
「あの時の返事をしに来た」
あの時の返事……?
そう思って首を傾げていたら、颯ちゃんは後ろ手にしていた手を私に差し出した。
「あっ……」
真っ白い、雪。
雪が私の前に広がった。
「お前、言い逃げとか卑怯だろ」
颯ちゃんの片手には私の渡したハンカチと、もう一方の手には白い無数のかすみ草の花束ーー。
かすみ草の花言葉は“清らかな心”、“無邪気”、“親切”、そしてもうひとつ。
「ありがとうな」
“感謝”
「い、いえ……」
今さらそんなわざわざ。律儀な真似なんてしなくていいんですけど……。むしろあれは、私の自己満で、しかも返事が欲しかったわけじゃないんで……。
返事されちゃったら、本当に終わるじゃないですか。もう、すっかり終わってしまってた恋だけど、本当に結果までついてきちゃうじゃないですか。
結果はいらなかったのに。だって答えならとっくに知ってましたから。言われなくたって分かってましたから。
私は話をごまかすみたいに、話題をふった。
「……この、かすみ草どうしたんですか?」
かすみ草のシーズンでもないのに。こんなにたくさん。
私はそっと颯ちゃんからそれを受け取って、それを抱きしめるみたいにして抱えた。
「俺を誰だと思ってんだよ。花屋の息子をなめんなよ」
「あははっ、そんな自慢の仕方あります? でも先輩、こんなのよく持ってましたね。みんなに騒がれて仕方なかったんじゃないですか?」
「だから先生に預かってもらってた。んでこっそり返してもらってな」
「へぇ……」
私は改めて颯ちゃんがくれたブーケを、そっと抱きしめた。
あの時の返事……?
そう思って首を傾げていたら、颯ちゃんは後ろ手にしていた手を私に差し出した。
「あっ……」
真っ白い、雪。
雪が私の前に広がった。
「お前、言い逃げとか卑怯だろ」
颯ちゃんの片手には私の渡したハンカチと、もう一方の手には白い無数のかすみ草の花束ーー。
かすみ草の花言葉は“清らかな心”、“無邪気”、“親切”、そしてもうひとつ。
「ありがとうな」
“感謝”
「い、いえ……」
今さらそんなわざわざ。律儀な真似なんてしなくていいんですけど……。むしろあれは、私の自己満で、しかも返事が欲しかったわけじゃないんで……。
返事されちゃったら、本当に終わるじゃないですか。もう、すっかり終わってしまってた恋だけど、本当に結果までついてきちゃうじゃないですか。
結果はいらなかったのに。だって答えならとっくに知ってましたから。言われなくたって分かってましたから。
私は話をごまかすみたいに、話題をふった。
「……この、かすみ草どうしたんですか?」
かすみ草のシーズンでもないのに。こんなにたくさん。
私はそっと颯ちゃんからそれを受け取って、それを抱きしめるみたいにして抱えた。
「俺を誰だと思ってんだよ。花屋の息子をなめんなよ」
「あははっ、そんな自慢の仕方あります? でも先輩、こんなのよく持ってましたね。みんなに騒がれて仕方なかったんじゃないですか?」
「だから先生に預かってもらってた。んでこっそり返してもらってな」
「へぇ……」
私は改めて颯ちゃんがくれたブーケを、そっと抱きしめた。