キミと初恋。
「颯ちゃんは私に気にしないで乗ってきていいですよ。一人ライドとかあるし、私その間ジュースでも飲みながら待ってますので」


なんとなく申し訳ない気持ちになって私は苦笑いをこぼした。


「お前、絶叫系ダメだったのかよ。なんでそう言わなかったんだ? そしたら遊園地じゃなくて他のとこでもよかったのに」


確かに。遊園地じゃなくて他のところを提案すればよかったかもしれな。

だけど、そうしたら颯ちゃんはもしかすると私と会うこと自体をやめてたかも……なんて後ろ向きな考えから言い出せなかった。

今考えればすごくネガティブだなって思うけど、昨日までの私は今以上に弱ってた。心も体も。

だからこそ、颯ちゃんの申し出を断るなんて選択肢は私には選べなかった。


でも、言ってたら颯ちゃんは友達と遊園地に来て絶叫系も堪能できたんだろうな……そう思うとやっぱり罪悪感しかない。


「いえ、遊園地は好きなんですよ。絶叫系も乗るんですけど最近三半規管弱ってるんで、ちょっとやめとこうかと思って。でも私に気にせず颯ちゃんは乗ってくださいね」

「バーカ。別々に楽しんでどーすんだよ。せっかく一緒に来てんだから一緒に楽しめるもの乗ったらいいだろ」


そう言って颯ちゃんはくしゃりと私の頭を撫でた。


「ってか、三半規管弱ったとかなんだそりゃ。ジジババが言うセリフだろそれ」

「ほっといてくださいよ」


はははっなんて笑いながら私の頭をこね繰り返すように撫で続ける颯ちゃん。

そんな笑顔にほっとしながら、私はされるがまま髪が乱れていく。


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