キミと初恋。
「嫌がらないんだな」


優しくとろけるような微笑みで私の顔を覗き込む颯ちゃんのせいで、私の体温はまた1℃上がったと思う。


「何がですか?」

「これだっ、よ!」


言いながら颯ちゃんは両手で私の頭を撫で回し出した。

な、なに? 急になんなの?! さすがにそんなに撫で回されたら頭クラクラするんですけど!

倒れる前に私は颯ちゃんの手から逃れるように距離をとった。


「何するんですかっ!」

「ははっ、いつも嫌がってたのに今日はやけに嫌がらねーなって思って」

「今すごく嫌でした。もう触らないでください」

「ハハッ、悪かったよ」


そう言いながら颯ちゃんは再び私の頭をくしゃりと撫でた。

前までこの行為を避けていたのは、私の気持ちがバレてしまわないため。決して晒してはいけない、知られてはいけない私の秘密。

それが不意にやってくる颯ちゃんとの距離に、行為に、表立ってしまわないように。

今はもう避ける必要も隠す必要もない。ただ1人の前を除いて。


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