キミと初恋。
お姉ちゃんの事を考えて気持ちが重くなりかけていたその時、やけに広場には人気が増えていた。


「わっ!」


駆けていく人と肩がぶつかって、思わずよろめきそうになった時、颯ちゃんが私の体をそっと支えてくれた。


「あっ、すみません!」


ぶつかった男の人は謝りながらも足は止めずに駆けていく。人混みはどんどん広場へと向かって増えていた。


「かすみ、大丈夫か?」

「あっ、はい。というか、何かあるんでしょうかね? イベント?」

「さぁ……見に行ってみるか?」


私は一度だけ首を前に倒し、颯ちゃんの意見に同意した。

私の体を支えてくれた颯ちゃんの腕が離れたかと思ったら、その手はそっと私の右手に触れた。

自分のものとは違う大きな手に私の鼓動は早まった。


「人混みでかすみが揉みくちゃにされると困るからな」


なんて言った後すぐ、颯ちゃんの眉根が険しくシワを作った。


「……ってお前、熱くないか?」


ドキリ、と鼓動は嫌な音を奏でた。ある意味でついさっきと同じ反応なのに、さっきのものとは全く違う感覚。


「私子供体温なので人より基礎体温高いんです。それより早く行きましょ!」


それ以上何も突っ込まれないように、私は颯ちゃんの手を引いて歩き出した。


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