キミと初恋。
……なんで? なんでお姉ちゃんが……?


私の疑問はいつしか疑念に変わり、反射的に颯ちゃんへと視線を向けた。


颯ちゃんは、知ってたの……?


私の手を力なく繋いだままの颯ちゃん。目は大きく見開いて、じっとお姉ちゃんに視線を送り続けている。


ーー颯ちゃんは今、何を考えているんだろう。


お姉ちゃんの横顔を見つめる颯ちゃん。そんな颯ちゃんの横顔を見つめる私。聞きたいのに聞けない。

ううん、本当は聞きたくなんてないのかもしれない。聞いたところで颯ちゃんの返事を聞く勇気もない。

うだるような熱。その熱が私の勇気を削いでゆく。


今は嫌なことしか想像できない。後ろ向きな自分に嫌気がさしそうになるけど、熱のだるさに身を委ねるように私は俯いた。


お姉ちゃんが登場して話し始めると、聴衆はさらに熱狂的な歓声を上げた。

どうやらお姉ちゃんはこの遊園地のイメージキャラクターになったらしい。

今日がその初日。あいさつを兼ねてこうしてやってきたようだった。

10分も経ったかどうかの時、司会進行をしている人に促されるようにして、話を締めくくり舞台の袖に立ち去ろうとしていた。


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