キミと初恋。
お姉ちゃんは私の表情とは真逆に、笑顔で観衆に手を振りながら降壇しようと階段付近に近づいた。

それに合わせて観衆も階段側に移動し、私たちの立っているところが急に混みだした。

颯ちゃんは私の手をしっかりと握り直して、私の肩を寄せた。


「わっ!」


人に押され、揉まれて、ちょっと気持ち悪くなってきた。


「かすみ、大丈夫か?」


私が思わず口を押さえて状態を屈めたせいで、颯ちゃんは心配そうに私の肩をギュッと抱き支えてくれた。


「だ、大丈ーー」


なんとか持ち直して私が顔を上げた瞬間だった。

ちょうど階段を降りてすぐそはに停めてある車に乗り込もうとしたお姉ちゃんとパチリと目が合った。


ーーあっ。


一瞬、時が止まった。

って、そう思った。


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