キミと初恋。
そう思った時だった。
「風花!」
颯ちゃんが突然、そう叫んだ。
私たちの周りには沢山の群衆。その群衆のノイズに紛れながらもちゃんと、颯ちゃんの言葉はお姉ちゃんに届いた。
だってお姉ちゃんが一瞬、身を固めたのが見てとれたから。
そしてそれと同時だった。離したはずの手が、温もりが、再び私の手に触れた。
それは這うように私の指を絡めて、ギュッと繋ぎ、そのままその手を天高く突き上げた。
繋いだ手を高々と掲げ、お姉ちゃんのいる場所からでも見えるように。
それがどういう意味なのか……お姉ちゃんがどう捉えて、どう思うのか。
まっすぐお姉ちゃんを見つめる颯ちゃん。そんな颯ちゃんから視線を外し、私はゆっくりとお姉ちゃんへと視線を向けた。
まるで氷山の氷が溶けていくように、お姉ちゃんの表情は緩やかに微笑みへと変わっていった。
「……あ、あのー、風花ちゃん? どうかしました?」
ずっと無言で立ち尽くしていたお姉ちゃんの様子に違和感を感じた司会者が、再びマイクを持って舞台へと戻ってきた。
「あっ、すみません。さっき聞こえた名前が私のファン第一号の方と同じ名前だったので、つい反応してしまいました」
司会者の方へ視線を戻し、にっこり微笑んだお姉ちゃんは、もう芸能人の顔をしていた。
「ファン第一号、ですか?」
「はい、そうです。ファン第一号の方は熱心に私を応援してくれて、いつも私を肯定してくれて、いつも私の味方をしてくれるんです。だから私も彼女の幸せを一番に願っているんです」
「えーっと、その人とはどういう……? あっ、風花さん⁉︎」
「あっすみません、次の仕事がありますので。それでは」
お姉ちゃんは多くを語らず疑問が残るような内容で去ったものだから、司会の方が慌てふためく様子は手に取るように見えた。
だけど、私にとってそんな事はどうでもよかった。
「風花!」
颯ちゃんが突然、そう叫んだ。
私たちの周りには沢山の群衆。その群衆のノイズに紛れながらもちゃんと、颯ちゃんの言葉はお姉ちゃんに届いた。
だってお姉ちゃんが一瞬、身を固めたのが見てとれたから。
そしてそれと同時だった。離したはずの手が、温もりが、再び私の手に触れた。
それは這うように私の指を絡めて、ギュッと繋ぎ、そのままその手を天高く突き上げた。
繋いだ手を高々と掲げ、お姉ちゃんのいる場所からでも見えるように。
それがどういう意味なのか……お姉ちゃんがどう捉えて、どう思うのか。
まっすぐお姉ちゃんを見つめる颯ちゃん。そんな颯ちゃんから視線を外し、私はゆっくりとお姉ちゃんへと視線を向けた。
まるで氷山の氷が溶けていくように、お姉ちゃんの表情は緩やかに微笑みへと変わっていった。
「……あ、あのー、風花ちゃん? どうかしました?」
ずっと無言で立ち尽くしていたお姉ちゃんの様子に違和感を感じた司会者が、再びマイクを持って舞台へと戻ってきた。
「あっ、すみません。さっき聞こえた名前が私のファン第一号の方と同じ名前だったので、つい反応してしまいました」
司会者の方へ視線を戻し、にっこり微笑んだお姉ちゃんは、もう芸能人の顔をしていた。
「ファン第一号、ですか?」
「はい、そうです。ファン第一号の方は熱心に私を応援してくれて、いつも私を肯定してくれて、いつも私の味方をしてくれるんです。だから私も彼女の幸せを一番に願っているんです」
「えーっと、その人とはどういう……? あっ、風花さん⁉︎」
「あっすみません、次の仕事がありますので。それでは」
お姉ちゃんは多くを語らず疑問が残るような内容で去ったものだから、司会の方が慌てふためく様子は手に取るように見えた。
だけど、私にとってそんな事はどうでもよかった。