キミと初恋。
「先輩ってずる賢いですね」

「なんだよ、人聞き悪いな」

「結局のところ、やっぱり程のいい風よけ役じゃないですか」

「あっ、気づいたか?」


……ははっ、なんて楽しそうに笑ってるけど、こちらは笑えませんから。

やっぱりもう一発くらい殴っても文句言われる筋合いはない気がする。


「なに人の事無視して二人でボソボソ話してんのよ」


ほったらかされていた元カノは、イライラして地団駄まで踏んでいる。

綺麗に巻いた髪を揺らしながら、これまた綺麗にお化粧を施している顔を険しく歪ませながら。


「なんだお前、まだいたのかよ」


そんな元カノのイライラ熱の中に油を注ぐ先輩。

なぜそうも簡単に火に油を注げるのか……私には理解し難い。


「……また水かけられても知らないですよ」


私が言った言葉は元カノには届いていないけど、先輩にはちゃんと聞こえるようにぼそりと呟いた。

一瞬先輩は身を固めた後、机の上に置いていたコップの水を勢いよく飲み干した。

これならかけれないだろうとでもいうように。


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