キミと初恋。
「ねぇ、私は? 私は友達になれないの……?」


い、いやぁ〜、それはさすがに難しいのでは……。

案の定、となりでは先輩が険しい顔を向けている。


「ほら、別れた後は友達になったりするじゃん普通。それもダメなの?」

「無理だな。だってお前とは元々友達だったわけでもねーし」

「でも、それならその子も一緒でしょ」


元カノはなかなか引き下がらない。それだけ先輩の事が好きなのだろう。形はどうあれ、どうにかして先輩のそばにいたいのだろう。


「お前、昨日俺になにしたよ? 人に水ぶっかけておいてあるわけないだ」

「でも、その子だって青井を殴ったんでしょ? 知ってるんだから」


……まぁ、確かに。私の方がひどいよね。

ただ、一度付き合った事があるか、先輩を好きかどうかの差は大きいと思う。


ーー下心。


今の先輩が最も嫌っているものだから。


「はぁ……」なんて、ため息つく先輩はすでにめんどくさそう。

いや、めんどくさい意味もわかんないけど。だってこれ、先輩の身から出たサビだし。


「そこまで言うなら仕方ねーか……」


先輩は、とても言いにくそうにかしこまった。

私も外野も先輩がなにを言おうとしてるのか、聞き漏らすまいとして静かに次の言葉を待った。

元カノに関しては、受け入れてくれると信じ、目を輝かせながら固唾を飲んでいる。


「本当は言うつもりもなかったけど、仕方ねーな」


先輩の茶色い髪をワシワシと掻きむしった後、真剣な目つきで私に向き合った。

あれ、なんでこっち? そう思った瞬間だった。


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