キミと初恋。
「なぁ、腹減らね?」

「減ってません」


と答えたにもかかわらず、ぐぅとタイミング良く返事をするのは私のお腹。


「はっはっはっ! お前の腹の方が素直だな」


そんなお腹かかえてまで笑わなくても……。

私達はさっきの一件でほぼ手付かずのお昼ご飯をそのまま置いて出てきてしまった。だからお腹はぺこぺこだった。

それでも空気を読んでくれない私のお腹をギュッとつまみながら、俯いた。


……さすがにちょっと恥ずかしい。


「なんか食いに行こうぜ」

「授業どうするんですか?」

「フケるに決まってんだろ。腹が減ってて勉強なんてできるかよ」


その理由には賛成します。だけど、ここで先輩と抜けるっていうのもまた面倒ごとになりそうなんだけど……。


「って、先輩もしかして、そうやって抜けてまた明日私達が話題になる事を狙ってませんか?」

「ああ、なるほど。それもいいな」

「それもいいな、じゃないですから!」


さすがにそこまでは考えてなかったみたいだけど、それでもそういう風になればラッキーだと思う節がある地点でアウトだ。


「まぁ、言いたいこと言う奴には言わせとけばいいだろ。それより飯行かないのかよ。……腹、減ってんだろ?」


最後の言葉を言いながら、肩震わせて笑わないで欲しいです。


確かにこのまま教室に戻ってもきっとさっきの出来事の質問責めやら、女子からの冷たい視線やらを浴びる自信はないかも。

腹が減っては戦はできぬ。まさにこういうことだ。


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