恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「あ、東屋さん!お願いですから下も貸してください!」
お風呂上がり、東屋さんがパジャマ代わりに貸してくれたのはガバガバに大きなシャツ一枚。
それでも太ももは半分くらいは隠れているのだけれど、ものすごく心もとない。
いや、誘惑すると決めたのだからこれくらいの格好でいいのかもしれないけれど。
「どうせ裾引き摺るだろ。それよりここ座って」
「え、なんで、膝?」
「コンセントここだから、ソファの端までしかドライヤー届かないんだよ。俺も旅行で歩き疲れたから座りたいし一花に立たれたままじゃやりにくい」
私の髪を乾かすと言って譲らない東屋さんが、ドライヤーを片手にソファに座り、私にも膝に座れという。
逆に私が誘惑されているみたいにグイグイ来られると、どうしたらいいのかわからなくなる。
怯むな私。
と、気恥ずかしさをこらえて、意を決してお尻を引っ掻けるようにして膝の上に座った。
「……まあ、延長コード出してくればいいだけなんだけど」
「ちょっ、だったら、」
私の声は、ぶおお、というドライヤーの音にかき消された。