恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
ちら、と一瞬だけ後ろを見ると、東屋さんはソファの背凭れにふんぞり返って、私の髪を持ち上げドライヤーの風をあてている。
とても涼しい顔で。
私はといえば、当然落ち着くはずはない。
お、お尻が。
薄い布一枚で、東屋さんの膝に乗っかっていると頭が気が付いてしまうと、どうしようもなく居た堪れない。
だけどもぞもぞ動くのも、変な気がして、結果私は不自然なほどに固まっている。
ぶおぶおとあったかい風が少し遠めから浴びせられ、髪が前に靡いてくる。
「あ、半渇きくらいでお願いします」
「なんで?」
「しっかり乾かしちゃうと髪が傷むので」
「……お前結構余裕だな」
「え?」
「いいよ何でもない。俺、女の子の髪とか乾かすの初めてかも」
さら、さら、と髪が徐々に東屋さんの指を受け入れて、通りが滑らかになる。
その感覚がちょっと、気持ちいい。
「……か、彼女とか。してあげたことないんですか」
「ないなぁ」
「なんで?」
「さぁ……なんとなく。今までそんな手がかかりそうなタイプいなかったしな」