恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「あ、東屋さんは、ずるいです」
「うん?」
少し驚いたように見えたのは一瞬で、彼はすぐ微笑んで私の言葉の続きを待っている。
次に私が何を言うのか、楽しみにしているようにも見えた。
「こんな、痕まで残して、キスもいっぱいして優しくしてくれるくせに」
「うん」
私の両膝に置かれた手が、さわさわと肌を擽りながら太腿まで上がってくる。
ぞく、と震える感覚に言葉を邪魔されそうになって、真ん中まで来たあたりで慌てて服の裾を掴んで行く手を阻んだ。
「そ、そこまでして、中途半端に味見だけなんて、」
「……う、ん?」
手はそこで留まっても、長い人差し指が内腿を擽る。
心臓が、どくどく激しい。
話したいのに邪魔しないで、と思うのに擽られて力が抜けて行きそうになる。
つい東屋さんの手を上から掴んだら、掴み返されて口元に寄せられた。
指の爪にひとつひとつ、キスされる、その行為にきゅうっと胸が苦しくなって、私はなんとか言葉を絞り出す。
「ず、ずるい。味見だけなんて言わないで、ちゃんと全部、食べて」
ぴき。
と、今度こそ、東屋さんが固まった。