恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
あの夜から、三週間ほどが過ぎていた。
互いに用がない時は、一緒に帰るのが習慣になって、ご飯を一緒に食べたり食べなかったり、だけど必ず家まで送ってくれる。
言葉は未だなくとも、彼女みたいに扱ってくれて、私は当然嬉しいのだけど。
この待機の期間が彼の中でどんな意味があるのか、私には推測しかできないし直接聞いてみたいという気持ちは当然ある。
さよさんを吹っ切るため?
それとも、私に抱いてくれてる気持ちを確かめようとしてるのか。
突き詰めて聞くことも出来たかもしれないけれど、待てというのだからせめてもう暫く、黙って待つことにした。
ぺら口卒業。
一花、ちょっとレベルアップした。
今日は二人でパスタを食べて、その帰り道。
雨が降っていなければ、手を繋げるのだけど、残念ながら今日は朝から一日雨だった。
「梅雨、明けませんねえ」
「来週くらいじゃない? さすがに七月中には明けるだろ」
「西原さん、七月いっぱいになっちゃいましたね」
そう。
当初、退職は八月末、ということだったのだけど。
どうやら、悪阻が激しかったみたいで、私は全然気づいてなかったのだけど。
つい先日、急遽七月末の退職となったと朝礼で報告があった。
「顔色悪かったしね。その方がいいよ、部長も安心だろうし」
相変わらず、西原さんのことはよく気が付く。
だけど、花びらをまき散らしていた彼の横顔が、ひどく穏やかさを増しているような。
私の目で見てわかる変化は、それくらい。
「あ、寄っていい?」
と言いながら、彼が指差したのは、私の家まであと五分、というところのコンビニだった。