恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「一日に両方観るんですか?」

「それはしんどいでしょ。今週と来週は?」



しとしと雨の中、並んで揺れる大小の傘。
コンビニを出れば、もうあといくらも時間を使うことなく私のアパートに着いてしまった。



「いつもありがとうございます、送ってもらって」


傘を畳んでエントランスの庇の中に入ると、彼を振り向く。
ここで別れるのがいつも少し寂しくて、だけど週末の約束が出来たから今日は幾分、和らいでいた。


「ん、じゃあね。土曜のことは、また打ち合わせよう」

「はい」


へら、と見上げた私はきっと、馬鹿じゃないのってくらい緩んだ顔をしてるだろう。


たかが映画で、って言わないで。
だって、仕事の延長でもなくご褒美でもない、ただの映画の約束ってことが、私にはとっても大事なことだった。


彼が、無言のまま困ったように笑う。
そしてなぜか、一歩進んで私を傘の中に入れた。

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