恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
見上げると、東屋さんが少し腰を屈めた。
傘の柄を持つ手が、突然緩んですとんと傘が覆うように落ちてくる。
「わ、……ん、」
黒い傘に隠れて、重なる唇。
蒸し暑い夜の空気に、傘の中の湿度は更に上昇する。
別れ際のキスは、初めてじゃない。
だけど、傘の効果か今日は少し、濃度は高め。
ひどく切ないような、寂しいような気持ちになって、つい腕にしがみついた。
やっぱり、和らいだなんて嘘だ。
日ごとに寂しくなる、もっと一緒に居たい。
私だけじゃないといい、と思ってしまうのは贅沢?
ゆっくりと名残惜しむ唇が離れがたさの、現れだといい。
「じゃあね、また明日」
吐息を絡ませたまま擦れた声がそう告げた。