恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
顔面で語る、という私の特技は依然健在だ。
翌日、西原さん柳原さんコンビと社員食堂で一緒になった時のことだ。
西原さんはやっぱりつわりがつらいのか、サラダとフルーツジュースというひどく軽めの食事だったけど、それでも美味しそうに食べていたので少しほっとする。
その時、膝に乗せていたスマホが振動した。
「ちょっとすみません」
東屋さんからラインの着信で、ランチのデザートについて来ていたミニプリンを残すのみとなっていた私は一度スプーンを置いた。
『土曜の映画、あの辺り電車のが便利だけど、雨みたいだし車にする?』
『でも駐車場停めれそうですか? 土日は結構混みますよね』
『それがネックだな。っつか今どこ。社食?』
『はい、ランチ中で』
午前中、外出していた彼はどうやら戻って来ているらしい。
返信が途絶えたので、再び膝に置いて顔を上げると。
ちょっと頬を染めてにやにやっと笑う顔が二つ。
「嬉しそうな顔しちゃって。いいことあった?」
「あ、えっと。今度二人で映画に行くことになって」
誰と、なんて間違いなくバレバレなわけで、敢えてそこは省いた。
「デートだデート!」
「デート、ていうか……ただコンビニで雑誌見てたら、たまたま映画の話になって、それで」
「……なんか、手練れなのか初心なのかわかんない誘い方」
「だから、雑誌見てたまたまその話になったから、」
「あ、でも私東屋くんから聞いたことある」
柳原さんに私の照れ隠しの言い訳は届いておらず。
その時、西原さんが、如何にも何か思い出したという顔で目を見開いた。
「東屋くん、自分から女の子誘うのってどうしたらいいかよくわかんないって」
これには、私も柳原さんも目が点になった。