恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「「ないないそれはない!」です!」
柳原さんと私の声は見事に重なった。
「んなわけないでしょうが」
「ほんとだって。東屋くんモテるよねって話した時にそんなこと言ってた。基本女の子の方からデートしたければ言ってくるから、て」
「げ」
「黙ってても女の子寄ってくるもんね、必要なかったのかも」
「やな男」
「あはは、私もそう言った! ……でも」
ちら、と二人の目が私を見て苦笑いをする。
「そうは思わない子がここに約一名。なんでそこでキラキラしてんの?」
余程、私は目を輝かせていたらしい。
だって、だって。
もしそうなら、東屋さんなりに私を誘おうとあれこれ考えてくれてたんなら、ものすごく、ものすごく嬉しい。
ぽ、ぽ、と火照り始める頬を手で押さえていると。
今まさしく話題の人の少し不機嫌な声が、頭上から聞こえた。
「何の話してるんですか、西原さん」
ついさっきラインでやりとりしてから、数分も経ってないのに。
驚きと同時に、何かさっきのセリフに物凄い違和感があって、それは柳原さんも同じようだった。
「別にたいした話じゃないわよ、女同士の世間話!」
「なんか俺の話してませんでした?」
「なんでそう思うのよ」
「目があった途端に『げっ』て顔したじゃないですか」
西原さんは全くそれを自然に受け入れて会話をしていて、ぽかんとしているのは私と柳原さんだけである。
じっと私の目線に気付いた彼が、少し屈んでテーブルと私の座る椅子に手を置いた。
「何見てんの」
「いえ、」
「俺、午後からまた出なきゃいけないから。夕方には戻ってくるけど」
「そうなんですか……え、お昼食べないんですか?」
言うだけ言って立ち去ろうとする雰囲気に慌ててそう尋ねると、背凭れに置かれていた手が私の背中を撫でた。
「外で食った。ちょっと顔見に来ただけ」