恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
きっとまた、お前は顔面で語ってるとか揶揄われる。


そう思ったのに、意外にも肯定的な。


「……だな」


の一言だった。
その二文字が、余りにも心情がこもって聞こえたので、ついその横顔を凝視する。



「何?」

「あ、いえ。何か思うとこがあったのかなー、て」

「別に。お前はいいね、全部顔に出るもんな」

「それ言われると思ってました!」


東屋さんだって西原さん見てた時はわかりやすかったですけどね。
花まき散らしてましたからね。


まあ、でも。
私の気持ちが伝わっててこうして受け止めてもらえてて、私はやっぱり幸せだ。


映画館を出て、進行方向は二手。
買い物でもいこうかと、ショッピングモールの方へ向かって歩き出す。
暫く離れていた手をつい、本当につい、手を繋ぐみたいに私から、東屋さんに触れてしまった。


手を繋いでくれたことは何度もある。
でも自分から繋ぎにいってしまったのは初めてで、触れたはいいけどそのままひっこめようとした。


だけどそれより先に、東屋さんの手が動く。
ごく当たり前のようにそのまま手を絡ませてくれた。


「……っ!」



きゅん、って胸が鳴った。
塩対応の頃の東屋さんなら間違いなく、冷やっこい目で見られてた。



「えへへ」

「何にやにやしてんの気持ち悪い」

「なんでもないです。やっぱり好きだなぁ、って」



へらへらと、ついぽろっと言ってしまった。


あんまり言ったら押し付けてるみたいかなって、あの日から言ってなかったけど。
今日はデートだしいいかなって、ぽろって溢れてしまった。
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