恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
囁き最後に耳を軽く啄んで、離れていく。
茹で蛸みたいになってがちがちに固まった私を引っ張って歩き、東屋さんが小馬鹿にしたように笑った。
「んながちがちになって夜まで保つ? 疲れたとかいってすぐ寝そう」
「ね、ねま、寝ませんっ」
「寝かさないけど」
ひうっ!
爆弾発言をぽろっと投下しては私の反応を見る。
弄くられているのだと気付く余裕もない私は、そのあとずっと心臓がどくどくしっぱなしで中々収まらなかった。
買い物をしてても少しお洒落なレストランで夕食をとっていても、どこかふわふわと夢見心地で。
レストランを出れば外はすっかり夜の闇、まだまだこれから飲みに出ようかという賑やかな雑踏の中。
少し後ろを歩いてた私に振り向いて、彼が「帰ろうか」と言った時。
惹き寄せられるように私は彼の元に飛び込んで、その腕にしがみついた。