恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「ちょっ、あの、」
聞こえてないのって思うくらい東屋さんはお構いなしで、寧ろすり寄ってくるから身体を固くして肩を竦めた。
すると顎を持ち上げられて、後ろを振り向く形で唇が重ねられる。
「ん、んん、」
も、もしかしてこのまま?
シャワーとかしないの?
軽いキスだけならまだしも、このまま寝室に連れていかれてしまいそうな欲情まみれのキスだった。
抵抗しようにも膝の力が抜けて、がくんと崩れ落ちそうになるその一瞬、唇は離れてかろうじて東屋さんの腕に支えられる。
……あ。
鼻がこすれるくらい間近で見た彼の目は、今まで見たことないくらいに熱を帯びていて。
だけどそれを隠すように一度目を閉じ彼は深呼吸した。
「シャワー、しようか。っつか先に浴びていい?」
「あ、はい! 勿論……」
すっと身体を離して背を向ける。
髪を掻くその後ろ姿が、 ぼやく。
「頭冷やしてくる。このままやったらめちゃくちゃしそう」
……めちゃくちゃ?
めちゃくちゃってどうなるの。
わからなくても、身体はひどく、熱くなる。
すごく恥ずかしい意味での「めちゃくちゃ」なんだとそれくらいは理解したから。