恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
順にシャワーを浴びて、私は東屋さんのパジャマの上を借りた。
そう、またしても、上だけ。
あ……東屋さんって、結構、えっちぃのかなあ。
こういう格好させたがるのってなんか変じゃない?
一度は彼に身体を預けた、あの時のことを思い出せばむき出しの太腿とかすごく意識してしまって恥ずかしい。
裾を少し手で引っ張りながら脱衣所兼洗面所を出て彼の姿を探すと、キッチンの冷蔵庫から水のペットボトルを二つ、出しているところだった。
「あの、シャワー、ありがとうございました」
「うん」
とそれだけ言って差し出されたペットボトル。
俯いたまま受け取ると、旋毛に彼が口づけた気配。
「寝室に持ってっていいよ」
おいで、と背中に手を添えられ押し出されるように、一歩。
寝室と聞いて急速に意識し始めた身体が、手が足が、微かに震え始めた。
三度目の寝室、自分の足で入るのは初めてだ。
促されるまま中に入って、ベッドの真ん前で立ち止まる。
まともに彼を見ることが出来なくてずっと手元のペットボトルばかり見ていた。
緊張し過ぎて喉もカラカラに渇いているのに、手に力が入らなくてペットボトルの蓋が開けられない。
「貸して」
という声と同時に、大きな手が視界に入ってきてペットボトルを奪っていった。
ぎし、とベッドの軋む音がして、彼がベッドに腰を下ろした。