恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
ペットボトルの行方を追った私の視線は、彼の顔も視界に入れていて。
さっきはあんなに性急なキスをしたのに、今はすごく穏やかに優しく笑って、蓋を緩めたペットボトルを返してくれた。
「ありがとうございます……」
口を付ければ冷えた水が喉を潤し心地よい。
その間、ずっと見つめられてて、突っ立ったままの私はもじもじとして落ち着かない。
いくらか飲んでほっと息を吐いたところで、彼が私に手を伸ばす。
飲みかけのペットボトルを差し出すと、そのまま腕を取られて引き寄せられた。
彼はベッドに腰かけたまま、私の腰を正面から抱く。邪魔なペットボトルを抜き取ると、サイドテーブルの上に置いた。
「落ち着いた?」
「は、はい」
答えた声は震えていた。
緊張してるって丸わかりだ、でも取り繕う余裕もない。
強く抱きしめられて、胸元から彼の視線が上向いて私を見た。
やだ。
絶対、心臓の音、伝わってる。
シャツの合わせの隙間から、熱い吐息が吹き込まれる。
二つの膨らみの内側を、彼が布地の上から柔らかさを確かめるように唇で食んだ。