恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】


何があったんだろう。
黙って帰ったからと言っても、今夜の予定は元々東屋さんにも伝えてあるし、それだけのことでこれだけ着信を鳴らすのはおかしい。


もしかして、糸ちゃんあの後東屋さんに何か言ったんだろうか。
だとしたら、電話に出るべきだけど、正直何を言えばいいか頭の整理も心の整理も出来てないのに。


ど、どうしよう!


あわあわと焦りながら、とにかく雑踏にいるよりはと駅の改札を出て、隅の方に寄る。
ここで女子メンバーと待ち合わせの予定だが、まだ少し早い時間だから誰も来ていない。


そうこうしている間にも振動し続けていたスマホが、再び静かになった。
そしてすぐ、メッセージを受信する。


『いまどこ』


簡潔過ぎるが故に、何か怖い。
しかもおバカな私は、うっかり画面をタップして、しっかり既読を付けてしまう。


これで、気付きませんでしたという言い訳は使えなくなった。
尚且つ、当然既読マークを見たであろう彼から、がつがつとメッセージを受信する。


「わ、わわっ!」


『無視しないで出て』
『紗世、どこにいる?』
『飲み会に向かってる?』


そこで再び通話着信。
それからまた、メッセージ。


『話したい』
『電車の中?』
『今、そっちに向かってる』


どうしよう。
見てるだけで、涙がまた、止まらなくなった。

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