恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
『わかった。そこにいて』
「で、でも」
『何?』
「今、あたまんなかぐちゃぐちゃでっ……」
今、会っても私、何を言えばいいかわからない。
何を言ってしまうかわからない。
「も、少し落ち着いてから」
『だめ』
せめてちゃんと話ができる程度に頭の中を整理してから、と思ったのに、全部言い終わる前に却下された。
『今じゃないとダメ。気持ち落ち着かせるの待ってたら、その間にお前全部飲み込んで、また笑顔しか見せないだろ』
聞いた途端、ぶわっと涙がこれまで以上に溢れて、もう出したくても声が出なくなった。
ひたすらしゃくりあげ、指で目を擦って、どれだけ拭っても後から後から溢れてくる。
東屋さんの言った通りだった。
気を紛らわせて、今夜会う時にはちゃんと笑えるようにってそればっかり考えてて、そうなったら私はきっと、もうさっきの出来事など話し出さなかっただろう。
泣き声しか出さない私を、東屋さんが優しく宥める。
『あとちょっとで着くから』
「……うっ、うえっ」
『待ってて』
また伝わりもしないのに一生懸命何度も頷いて、通話はそこで途切れた。
来てくれる。
泣きやまなくちゃばっかり考えてたはずなのに、今はそれよりもただ嬉しかった。