恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
唇に指で触れると、まだ熱を持っているような気がした。
熱くて、優しくて、それでいて強引なキス。
ちゃんとわかってる。
これは昨日の仕返しみたいな意味しか持たない、キスなんだと。
「はは……東屋さん、いくら仕返しでももうちょい、手を抜いてくれたって」
声に出して、ただの遊びの軽いキスなのだと笑い飛ばそうとしても、上手くいかなかった。
どうしようもなく意味のないキスだったのに、それでも泣きたいくらいに嬉しい。
東屋さんの気持ちはずっと西原さんに向いたままだと、わかっているのに。
気持ちが伴わないキスだとわかっているのに嬉しかった。
だけど胸も痛い。
すごく寂しい。
だったらこんな気持ち、なかったことにしてしまえばいいのに、それはとてもじゃないけどままならない。
キスの後の、悪戯が成功したみたいな少し子供っぽい表情や。
扉が閉まる前の、むっつりとした不機嫌そうな表情が記憶にまた、焼き付いている。
いつだって、あの人の声も仕草も表情も、私の中に簡単に焼き付いてしまう。
「………、うぇ」
このキスを、絶対に忘れないって思うくらいに嬉しいのに。
暫く涙が止まらなかった。