恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
フロアの半分は私たち営業補佐の島で、残り半分は営業の男性社員の島だ。
デスクは、新人なのだし当然一番端っこ、扉のすぐ近く。
研修期間は終わったけれど、東屋さんとも思ったよりもしょっちゅう顔を合わせていた。
いや、しょっちゅうどころか。
「は?! これ明日までに変更?!」
「そう。仕方ないだろ、打ち合わせの予定繰り上げてって言うんだから」
「そういうのを安請け合いしないでくださいよ!」
急ぎの仕事とかやたら多い資料の作成だとか、ややこしいのは全部私に回してくる。
たくさん熟さないと勉強にならないよね?
とかにっこり微笑まれて、研修明けて東屋さんの手を離れたはずなのに、この二週間私の熟す仕事の殆どは東屋さんに頼まれたものだった。
「できないの?」
「できますけどね?!」
くっそ!
惚れた弱みでついなんでも引き受けてしまっている自分が悔しい。
あの歓迎会のあと、どんな顔をすればいいのか迷った挙げ句、やっぱりいつも通りでポーカーフェイスで通すしかないと思っていたのに。
私以上にポーカーフェイスの東屋さんに、敗北感を抱かされている。
東屋さんと私がそんな感じだからだろうか。
歓迎会の夜のことを、何人かにどうだったか聞かれたけれど。
「ちゃんと帰れましたよ」
とだけ言って誤魔化しているうちに、特に何も聞かれなくなった。
東屋さんも多分、当たり障りなく答えているんだろうと思う。
だって。
朝までお世話になって自力で帰りましたなんて言うわけにいかないし。
ただ時々、なんかすごく微笑ましい目で見られている気がする、そんな二週間だった。
つまり、あまり変わり映えがない。
そして、変わり映え……というよりも、大事な話をしなければならないのに全く進展していないのが、京介くんとのことだった。