恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
午前中の仕事が押して、昼休憩に遅れて一人で社食で食べながらスマホの画面に目を落とす。
……今日も、反応なし。
携帯に京介くんから連絡が来てないことを確認して、溜め息をつく私の真横に座った男性社員がひとり。
「ひとちゃん、お疲れ! 今日飯行かない?」
「お疲れ様です糸ちゃん。行きませんよ」
そうだ。
根掘り葉掘り聞いてくるのが一人いた。
「またまたー。溜息ついちゃって寂しいんじゃないの?」
「寂しくても糸ちゃんについてくほど馬鹿じゃないです。今からお昼ですか?」
糸井さん改め糸ちゃんからのお誘いは、毎日のこと過ぎてほんとどうでもいい。
「東屋と上手くいかないの?」
「いや……だから。何もないって言ってるじゃないですか」
あの夜、どうしても何かあったことにしたいのかそれとも何か聞き出したいのか、糸井さんはやたらと突っついてくる。
「えー、でもさ。ひとちゃん、東屋好きでしょ」
ものすっごい、ストレートに突っついてくる。
「そ、んなことないですよ。何言ってんですか」
「そお?」
「尊敬はしてますけど。お世話になってるし」
ぐっさぐっさとグラタンコロッケとプチトマトを箸で弄って、ついお行儀の悪いことをしてしまった。
そんな私を、糸井さんは細い目を更に糸目にまで細くして、笑った。
「……そんな可愛い顔してよく言う」
「なに?」
「自覚ないならいいよ。まあ、東屋は何せ”さよさん”が一番だもんな。そう簡単にはいかないよなー」
ころん。
とプチトマトが箸から逃げた。