恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
ぐっ、と言葉に詰まった。


男の人で、しかも好きになってしまった人で。
キスを、してしまった。


正直に言うのは怖い、だけど嘘を吐いていいの?
私なら嫌じゃない?
それとも知りたくない?


判断が、つかなくて。



『……紗世ちゃん、』

「ごめん、京介くん。会って話したいことがある」



私に出せる答えは結局、そこしかなかった。



『は……、何? マジで男?』

「……ごめん」

『お前、何考えてんの? 俺が彼氏じゃねーの?』

「……ごめん。ちゃんと、話すから」



昨夜心配をかけてしまったことも、きちんと謝らないといけないけれど。
他に好きな人ができてしまったとちゃんと話して、お別れしてくださいと言わなければ。


だけど、京介くんの口から出たのは、拒否の言葉だった。



『……嫌だ』

「えっ?」

『相手、仕事教えてもらってるって言ってた営業の奴じゃねえの? 浮気した挙句、別れたいってことだろ。馬鹿にすんなよ、絶対聞かないからな』



最後は感情的な、乱暴な声で通話は切れた。
それきり、会って話したいとどれだけラインでメッセージを送ってもまるで反応がなく、梨の礫。


そして今日、やっと反応があったのだ。

< 72 / 310 >

この作品をシェア

pagetop