恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
幸い、人は居なかった。
本当は誰も来ないような場所をもっと慎重に探したかったけれど、このタイミングなら電話に出てくれるかもとどうしても気が急いたのだ。
だけど、どれだけかけても通話着信に出てくれることはなかった。
仕方なく、ラインでこちらも会う意思があることを伝える。
『何時頃に来る?』
すぐに既読が付き、素早く返信もあった。
今は通話はできない状況なのか、それとも意図的に出ないのかどっちだろう、とつい、考えてしまう。
『ご飯食べずに帰って来てね』
と、時間は特に指定のない返信があった。
食事せずに、ということは。
仕事が終わったらまっすぐ、それからどこかで食事をしながら話そうということだろうか。
何せよ、やっと京介くんが話に応じてくれる気になったのだ。
覚悟を決めて、ちゃんと自分の気持ちを言おう。
それから午後の業務は、異様に時間が長く感じた。
それでいて、夕方が近づくとやけに胃が重たくなって溜息ばかりついて西原さんに心配をかけてしまった。
どこで話すればいいだろう。
お酒が入るのは出来れば避けた方が良い気がするし、お酒抜きで静かに話せるとこなら、一件うちの近くにカフェがある。
あの店ならしっかりした食事メニューもあるから、と京介くんに提案してみよう。
帰る道すがら、ずっとそのことばかり考えていて。
例え怒られても軽蔑されても、私は京介くんが私の話を聞いてくれると、思い込んでいた。
アパートに着き、階段を上がる。
私の部屋の前には、京介くんが既に立っていた。