恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
指先に、ひやりとした感触の鍵が触れて取り出した。
鍵穴に差し込もうとして、結局やめて。
きゅ、っと握りしめたまま、私は京介くんを振り向いた。
「京介くん、ちょっと外で話そう」
「え、何? 冷凍食品とかもあるんだけど」
「……わかった。じゃあ、それだけ中に入れてくるからちょっと待ってて」
貸して、と彼の手にぶら下がったビニール袋に手を伸ばした。
だけどその手は動く気配がなくて、彼から返事もない。
「京介くん?」
見上げた京介くんの顔からは、表情が消えていた。
「…………もう、中にも入れてくれないわけ?」
「え、」
「紗世ちゃんは一体何の話をしたいの? こないだの話なら、俺聞かないよ」
きっぱりと言い切られ、息を飲む。
彼は再びにっこりと微笑んだけど、それはとても、心から笑ってるようには見えなかった。
「正直、ショックだったけど……忘れるよ。だからもうその話は無し。俺も反省してんの、ほら時間合わなくて中々会えなくて、紗世ちゃんに寂しい思いさせたかなって」
「京介くん、そうじゃなくて、」
「だから今回のことは忘れる。俺もこれから、出来るだけ会いに来ることにするよ。時間遅くても、会えないよりいいよね」
浮気した私を怒って、罵られるだろう。
謝っても許してはもらえないだろうけれどそれでも精一杯謝って……寧ろ京介君の方から別れようと言われてもおかしくない。
その予測とは全部、真逆の状況だった。