恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
簡単に、股開く女。


言われても仕方ない。
それだけ私はあの日、迂闊に酔っぱらって迷惑と心配をかけたのだ。


そう思うと声に出して否定することも、無駄な上に無意味な気がした。



「いいよ。別れよう。俺だってそのつもりで来たんだし」

「え?」

「今なら、罪悪感で俺にも足開くだろって思っただけ。その後こっちから捨ててやるつもりだったのに。んだよ、そんな気もないなら必死で連絡してくんなよ。あのままフェイドアウトで良かったじゃん」


それは、だって。
私を好きだって思ってくれた人だから。


精一杯謝って別れなくちゃ、って思ったから、無視されても毎日連絡を入れ続けた。


でもそれは、私の自己満足に過ぎなかったのか。
こんな酷いことを言わせるくらい、京介くんを傷つけたんだ、私は。


舌打ちの音がした。


京介くんの乱暴な言葉が、ずんずん頭と胸に響いて、私はそれらを受け止めることにいっぱいいっぱいで、何の反応もできなかった。


精一杯謝ることが、誠意なのかと思ってた。
でも、そうか。


いくら謝ったところで、彼の気が済むことなんてない。

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