社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜



「河合さん、なんだかまた更に綺麗になりました?」

良いことでもあったんですね、と言って笑みを浮かべている後輩に私は目を丸くした。

周りにそんな風に言ってもらえるような良いことなんてあったっけ……と思っていると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた彼女が私を真っ直ぐに見つめてくる。

「もしかして、深川さんとあんなことやこんな事、昨晩にでもしたんですね?」

朝からそんなことを想像して笑った彼女の言葉はあまりにも図星すぎて、私は首を縦にも横にも振れずただ苦笑いを浮かべた。

エッチをすると色気が出てくるとか、女性ホルモンが分泌されるとか。そんな話は確かによく耳にする。だけど、こんなにも分かりやすく効果が出るものだろうか。

彼女はまさか私にカマをかけているのでは? なんて思ったけれど、確かに、今思えば昨晩は五年以上ぶりだったし長らく女として枯れていただけに、一気に潤ったのかもしれない。

そういえば、彼氏が出来たのも五年以上ぶりだな。なんて、自分の干物さに今更ながら嫌気がさした。


「ふふ。深川さんとの結婚式、是非呼んでくださいね!」

「え、まだ結婚はしないけど」

「でも、いつかはするんですよね? その時の話ですよっ!」

「えっと、だから……」

「それじゃあ、私先急ぎます!」

< 102 / 122 >

この作品をシェア

pagetop