コバルトブルーの誘惑
「仕事?」とTシャツを畳みながら聞くと、

「少しね。」と私の頬を撫で、パソコンを閉じる。


「舞の仕事は?」

「人材派遣会社で、人を派遣する仕事をしてるの。」と言うと、名刺。と手を出すので、バッグに入っていた名刺入れから名刺を渡す。

「嶺緒は?」

「貿易関係。名刺はない。」

「そう。いつまで日本にいるの?」

「しばらくいる。いつでも、舞に会える。」と私の瞳を覗く。

「…そう。」

「嬉しそうじゃないな。」

「そうじゃないよ。『しばらく』なら…また…会えなくなるんだなって思っただけ。」


5年前と同じだ…

離れればお終いだ。


「会えて嬉しくない?」

「嬉しいよ。だから、ここにいる。」と言うと、

「よかった。」と私のこめかみにそっとキスをした。


ドサクサに紛れたキス。

私はため息を吐いて、嶺緒を少し睨んだあとで、新幹線を降りる準備をした。
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