コバルトブルーの誘惑
午後3時。
京都駅に降り、観光タクシーに乗る。

清水寺の『清水の舞台』から、下を眺め、お参りをし、おみくじを引く。

「嶺緒『大吉』。すごく運がいい。って事だよ。」と言うと、

「舞に会えたからね。僕はとてもハッピーだよ。舞は?」と笑う。

「『末吉』後から吉。これからハッピーかな?」と言うと、

「もちろん。これから僕がいるからね。」と私にウインクして見せる。


あいかわらず、ポジティブなオトコだ。

昔もそうだった。「失敗は成功のもと」と私が教えると、

好きな言葉。と覚えてくれたっけ。

その後、ことわざを色々聞かれて困ったかも…と思い出しながら、長い石段を手を繋いで降りて行った。


夕暮れ時に伏見稲荷の鳥居をくぐり抜け、タクシーに乗り、

鴨川を眺め、先斗町(ぽんとちょう)に近い駅に送ってもらった。
荷物を再びロッカーに入れ、

「明日は『川床(かわどこ)』の料理屋さんを予約してあるの。今日は居酒屋でおばんざい。」と言うと、どっちも楽しみだ。
と嬉しそうに笑ってくれる。

観光客で混んだ風情のある裏路地を歩き、運転手さんオススメの店に入ることができた。
小さな店だと思ったけど、間口の小さくても、店の中は案外中はゆったりしていて
のんびり京都らしい料理を一緒に食べた。
京野菜を説明したり、関東と関西の料理の違いの話をしていると、
嶺緒がブルーの瞳でも、流暢に日本語に話していたので、話しやすいと思われたようで、
地元の人が話に加わって楽しい話を聞くことができた。

酔っ払わないようにほどほどで切り上げ、今回は私が食事代を支払うことに成功し、
機嫌よく、店を出て、また、手を繋いで駅に戻った。
















< 12 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop