コバルトブルーの誘惑

点滴が終わると、次の受診の予約をしたら、帰宅して良いことになり、
とりあえず、嶺緒の部屋に向かうことになった。

帰りの黒塗りの車の中で（助手席にケンさん。後ろに3人で乗った。）

「嶺緒、心配させないで」とサラさんが怒る。

「ごめん。」

「…えっと、今週末は嶺緒の部屋に泊まっても良いかな？」と私が言うと、

皆んなが私の顔を見る。

「だって、…このまま帰っても心配だし…栄養の偏らない食事も用意したいし…」と言うと、

「まあ、数日は嶺緒も襲う気力はなさそうだし…
またすぐには倒れないよう自分でも気をつけるだろう。
でも長い目で見れば食事のためのお手伝いさんをお願いするよう検討するか…」とケンさんが言うので、

「僕は舞と暮らしたい。」

「嶺緒、恋人はハウスキーパーじゃないわよ！」

「わかってる。そうじゃないよ。
舞ともっと一緒にいたいんだ。今の生活はゆっくりデートする暇もない。
…お手伝いさんのことは別に考えるよ。」と私の瞳を見つめる。

「嶺緒、それって同棲したいって事で、エッチもありってことだろう」とケンさんが後ろを振り返る。

「舞は僕を好きじゃないの？」

「…そうじゃないの。私の問題なの。
次に嶺緒と別れることになっても…その…自分が大丈夫かなって…」

「意味がわからない」と嶺緒は私の顔を見る。

…ですよね