二人だけの秘密
「未来さん。また、私の死ぬ夢を見たんですか?」

その日の学校の帰り道、美希さんが僕に慣れ慣れしい口調で訊いてきた。

空から白い雪が降っており、気温もかなり低い。マフラーと手袋をしている美希さんだが、頬は赤くなっている。雪のように白い肌のせいで、それが余計に目立つ。

「見たけど、大丈夫だよ」

制服のポケットに手を入れながら、僕は笑った。僕の口から、白い息が出る。

「おまじないしたんですけどね………」

美希さんは、申し訳なさそうに言う。

「そんなに気にしないで、美希さん。しょせん、夢の話ですから。それより、美希さん。今日も、仕事ですか………?」

僕が不安そうに訊くと、美希さんは瞳をキラキラと輝かせた。

「いえ。実は今日で私、この風俗の仕事を辞めることが出来るんです」

そう言って美希さんは、弾んだ声を上げた。
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