二人だけの秘密
「未来、こんな夜遅くまで誰と会ってたんや!」

父親が白い壁をドンと叩き、僕に問い詰めるように訊く。

「だから、友達です」

「俺の金を盗んで会う、友達か?それがお前の言う、友達か?」

ーーーーーーバレてた。

父親の怒声を耳にした僕は、背筋が一瞬ゾクッとした。

「それは………」

それを言われて僕は、口ごもる。

「未来、お金は盗んではいけないのよ。こんなことも分からないの?それは、犯罪なのよ。なんで、そんな悪い子になったの」

母親に泣きながら体を揺らされ、そんなことを言われた。そして、母親はしくしくとまた泣き出した。

「………」

僕は、さらに口ごもる。そして、何も言えなくなる。

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