幼なじみじゃ、なくなった夜。
「カレー…?」
ポカンと立ち尽くす私を追いかけてきた榎波が「悪いかよ!?」とバツの悪そうな顔をした。
「シャワー浴びる前にカレー作ったんだよ!暇だから!金曜なのに!」
そしてなぜか逆ギレしている。
「カレー!?」
「それが何だよ?」
「足立さんは!?」
「…は、足立ぃ?」
いよいよ意味不明といった顔をした榎波が、「何でここで足立が出てくんの?」と眉をひそめた。
「だ、だって、足立さん、今日遊びにくるんじゃ…」
「どこに」
「…榎波んち」
「はぁ?何だそれ。んなことあるワケねーだろ。
俺女は家いれないから。まぁ、お前は泊めたけど…」
そしてチラ、と私を見る。
「……どういうこと?」
私は絶賛混乱していた。
だって足立さんは榎波の家に遊びに行くと行った。
だけど榎波はそんなことないと言う。
「……えぇえ!?」
「とりあえずお前、一回落ち着け!」
頭を抱えてしゃがみこんだ私を、榎波が椅子へと誘導した。