極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「初めて会った日から楓のことは綺麗な女性だな、いいな、と思っていたよ」
「あんなに冷たい感じだったのに?」
どこに好意的な様子があったというのか。
信じられずに聞き返すと真面目に答えてくれた。
「俺は会社のトップという立場上、楓の実力を冷静に判断しなければならなかったから、必然的に冷たい態度にはなってしまった。だが心の片隅にはいつも楓のことがあって、会う度『実力を見せてくれ』と願っていた」
それから紬は驚くべきことを口にした。
「社内恋愛禁止の規則を独断で撤廃したくらい、楓に惹かれていた」
私は知らなかったけど、どうやら紬の会社も当事務所と同じように社内恋愛を禁止していたらしい。
恋愛のいざこざで仕事に支障が出ないように、恋愛事が仕事の邪魔にならないようにって、先先代が決めた規則だそうだ。
「ちなみにいつ規則を撤廃したんですか?」
少し気になることがあって聞いてみる。
「楓のことをエレベーターの中で抱き締めた時だ」
やっぱり!
「そのタイミングで撤廃したら社員の方が私と社長のこと怪しむのも無理ないですよ!」
「あはは。まぁ、そうだな。だがそのくらい楓のことが好きなんだって周りにも、楓自身にも伝われば良かったんだ」
そんな風に言ってくれると嬉しい。
でもその規則があったことを知らなかった私は
当然、紬の気持ちに気付くこともなくて、そして当事務所の規則を知らなかった紬もまた私の気持ちを勘違いした…。
「ややこしいですね」
「いいんだよ。結果的にこうして結ばれることが出来たんだから」
そう言うと紬は枕元から小さな箱を取り出し、私の目の前に差し出してきた。
「誕生日プレゼントだ」
「え?いいんですか?あ、でも…」
どうしよう。
布団を持つ手を離したら裸を見られることになってしまう。
片手で受け取っても開けられないし。
「ちょ、ちょっと反対側向いてて貰えますか?」
「もう隅々まで見たのに?」
意地悪なことを言う紬の頬に思いっきり手を当てて、無理矢理反対側を向かせる。