極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~

「私が役員会に出席するということですか?」


そういう経験は今まで一度もない。
でも真剣な顔をして頷いた紬を見て覚悟を決める。


「分かりました。誠心誠意務めさせて頂きます」


ハッキリと決意を表せば紬は満足そうに微笑んでくれた。

その笑顔に胸が熱くなり、期待に応えなければという気持ちがフツフツと芽生えてくる。
車を走らせる間中、ずっと税務に関して考えていた。

だから紬が私の表情を見ていたことに気がつくのが遅れた。


「きみは仕事となると本当にいい顔をするな」
「え?あ、また見てたんですか?やめてくださいよ。恥ずかしいです」


運転中だから顔は背けられない。

その代わりに顔を隠すように手をヒラヒラと振って見せる。
そんな私の行動に紬は「ハハ」と声を出して笑ってから窓の外を見た。


「今日は暑くなりそうだな」
「そうですね」


外は夏晴れの晴天。

ゴルフ場は山の中腹にあるから多少は涼しいだろうけど、熱中症には気をつけなきゃいけない。


「だが、山の天気は変わりやすい。もしかしたら午後…いや、早ければ昼前には天気が崩れるかもしれないな」
「そうですか?」
< 30 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop