極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「私が役員会に出席するということですか?」
そういう経験は今まで一度もない。
でも真剣な顔をして頷いた紬を見て覚悟を決める。
「分かりました。誠心誠意務めさせて頂きます」
ハッキリと決意を表せば紬は満足そうに微笑んでくれた。
その笑顔に胸が熱くなり、期待に応えなければという気持ちがフツフツと芽生えてくる。
車を走らせる間中、ずっと税務に関して考えていた。
だから紬が私の表情を見ていたことに気がつくのが遅れた。
「きみは仕事となると本当にいい顔をするな」
「え?あ、また見てたんですか?やめてくださいよ。恥ずかしいです」
運転中だから顔は背けられない。
その代わりに顔を隠すように手をヒラヒラと振って見せる。
そんな私の行動に紬は「ハハ」と声を出して笑ってから窓の外を見た。
「今日は暑くなりそうだな」
「そうですね」
外は夏晴れの晴天。
ゴルフ場は山の中腹にあるから多少は涼しいだろうけど、熱中症には気をつけなきゃいけない。
「だが、山の天気は変わりやすい。もしかしたら午後…いや、早ければ昼前には天気が崩れるかもしれないな」
「そうですか?」