極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
たしかに直接聞いたわけではない。


「でも香水つけてますよね?女性物の」


さらに突っ込んで聞くと、紬は心当たりを探るように首を傾げてから言った。


「香水はつけない主義だが…あ、もしかして柔軟剤の匂いかもしれないな。甘い香りじゃないか?」


コクっと頷くと「やっぱり」と苦笑いを浮かべた。


「ハウスキーパーが頼んだ柔軟剤を間違えて買って来たんだ。でも捨てるのももったいないから使っているんだが…この香りのせいで勘違いされるとは思いもしなかったな」


勝手に恋人はいるものだと思い込んでいたから予想外の答えに返答が出来ない。

そんな私を紬がジッと見つめてくるものだから余計に言葉が出てこなくなってしまった。

俯く私に今度は紬が質問してきた。


「きみは恋人、いないのか?」
「いませんよ」


これには即答した。
でもこの手の話題が苦手な私は話が広がらないように、店頭でもらった登山の地図を机の上に出し、無理矢理話題を変えることにした。


「ここの山はいろんなコースがあるんですね」


難易度別に6つのコースに分かれている。


「今日はどのルートで行くんですか?」


紬の方は見ずに聞くと、少しの間のあと、地図上に指が置かれた。


「このルートにしようと思う」


迷わず指したコースは難易度としては中級。
途中まではリフトかケーブルカーに乗らないといけないようだけど、その先は山道だ。
< 57 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop